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April 30, 2006

マスコミ報道における医薬品の副作用の伝え方について一考の余地あり…

インフルエンザ治療薬について

Q.インフルエンザの治療にはどのようなお薬が使われるのでしょうか?

A.インフルエンザにはウイルスの型によってA型、B型、C型の3つに大別されます。一般的に流行しているのはA型とB型で、治療に用いられる薬も主にこの2種類について効果があるものを治療薬として使用しています。

Q.具体的にはどんなお薬がありますか?

A.まず、昔からよく使用されている抗ウイルス薬の塩酸アマンタジンという薬剤があります。ウイルスの一部分が細胞の核の中に入り込むのを防ぎ、効果があらわれると考えられています。ただし、A型インフルエンザウイルスにしか効果がありません。副作用としては、昏睡などの意識障害、幻覚、妄想、せん妄、錯乱などの精神神経様症状があらわれることがあります。また、このお薬はパーキンソン病や脳梗塞の後遺症にも使われています。いろいろな使い方をする薬剤なので、お薬の説明を受ける際に医療機関や薬局で薬の説明書きを渡されることがあると思いますが、場合によっては自分の症状についての効能や効果についての表現が必ずしも的確でないことがあります。よくわからない場合には、医師や薬剤師に訊いてみましょう。少し話はそれるのですが、たまたま今年の佐伯区民祭りで(広島佐伯薬剤師会は毎年健康コーナーにブースを出しています)お薬相談にこられた方の中に似た事例があったので紹介します。塩酸アミトリプチリンというよく使われている抗うつ薬があるのですが、お子さんのお薬の説明書きを持参されて「うちの子は精神神経科のお薬を服用するような病気なのでしょうか?」という問い合わせを受けました。お話を伺ってみると、どうやら夜尿症(オネショ)、遺尿症(おしっこが残っていて無意識のうちに失禁してしまう病気)に使われていることがわかりました。この塩酸アミトリプチリンというお薬は、小児の夜尿症に使われているので医療関係者の間ではごく標準的な処方なのですが、たまたま日曜日で病院や薬局が閉まっていた為に問い合わせすることができなかったために、偶然?その場に居合わせた私がお答えすることになりました。納得していただきました(と、返答した本人は確信しています。)ですから、もしもお薬のことでわからないことがあれば、ほかの医療機関や薬局、薬店でいただいた物でも構いませんからどんどん薬剤師にお尋ね下さい。

Q.その他にも使われるお薬はありますか?

A.A型とB型のインフルエンザウイルス両方に有効とされているお薬があります。ザナミビル水和物という外用の吸入薬です。専用のディスクヘラーと呼ばれる吸入器を使って吸入します。吸入器にお薬が入った円形のディスクをセットして使用します。詳しい使用方法は、医療機関や薬局で医師や薬剤師にお尋ね下さい。1枚のディスクに4箇所のふくらみがあり(昔あったマーブルチョコの包装を想像していただけるとわかりやすいかもしれません。)それを1回に2箇所つぶしてセットし、1日に2回吸入します。(つまり1日に4箇所をつぶして使用するので、1枚のディスクが1日分になりますよね。)それを5日間続けます。ただし、吸入薬は使用される方によっては体内にきちんと吸収されないこともあります。(例 呼吸が弱くうまく吸い込むことができない)また、現在のところ成人にしか使用できないことになっています。副作用として特徴的なものは、気管支のれん縮や呼吸困難などがあります。
そして、最近よく使用されている内服薬(飲み薬)としてリン酸オセルタミビルがあります。この薬剤もA型とB型のインフルエンザウイルスの両方に効果があるとされています。標準的には1日2回5日間服用します。カプセルとドライシロップ(粉薬)の2種類の剤形があり、ドライシロップは主に小児用に使用されています。リスナーの方の中にもテレビやラジオなどの報道でこのお薬の名前を聞かれた方も多いのではないでしょうか?日本では、所謂、鳥インフルエンザ対策で厚生労働省が中心となって国家主導で2500万人分を備蓄する体制をとる予定にしているが、数が足りないであるとか、また、薬を服用した少年が精神神経症状の副作用により、異常行動を起こして自動車事故などによって死亡してしまったなどのネガティブなイメージがあるかもしれません。しかしながら、お話してきたように副作用を恐れて薬を服用しないことによってインフルエンザウイルス感染が原因で死亡するリスク(危険性)と、きちんと予防接種受けることやお薬を服用する事によって、感染を防ぐ、もしくは仮に感染しても症状を抑えられるベネフィット(利益)を比較すると、どちらがよいと皆さんは考えられますか?
インフルエンザの症状に効果がある薬剤についてお話させていただきましたが、先程のお薬は発症してから2日(48時間)以内に服用(使用)しなければあまり効果が期待できません。早めに医療機関を受診して下さい。また、特にインフルエンザの疑いがある場合には発熱があるからといってむやみに解熱を行うと重篤な症状を引き起こすことがあります。特にお薬を使って熱を下げる時に気をつけていただきたいのは、ジクロフェナクナトリウムという成分を含むお薬を使用してはいけないということです。ウイルスに感染していて、インフルエンザ脳炎・脳症と呼ばれる状態にあるときにこのお薬を使用すると、脳血管が損傷して、その後の経過が非常に悪い(最悪の場合、死亡)という報告が出ているためです。このようなことを防ぐためにも、お薬は医師や薬剤師の指示に従い、用法・用量を守って正しく使用して下さい。
(著者注)
この原稿は2005年時点での原稿であり、現在ではザナミビル水和物は小児にも使用できるようになりました。

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